「デジタル印刷機の導入に関する問題点」について考えてみたいと思います。

この記事をご覧いただいている皆様は、デジタル印刷機の導入に関して少なからずお考えの方々であると思いますが、普通、現在のオフセット印刷すべてを一気にデジタル印刷に変えるということはお考えにならないと思います。

殆どの皆様が、まずは現状のオフセット印刷に対して、補助的にデジタル印刷を導入し、その後、徐々にオフセット印刷から、軸足をデジタル印刷へ移行していくということをお考えではないでしょうか?

この場合、デジタル印刷用のデータを別に用意することは、2重に製版コストがかかることになりますので、現在運用されているオフセット印刷用の製版データをデジタル印刷へ流用されるのではないかと思います。

また、オフセット印刷用の、膨大な在版データをお持ちの印刷会社様も、多いのではないかと思いますが、そのデータをデジタル印刷へ流用し、再版をお考えの方も多いかと存じます。

この場合、通常の印刷データならば、ほぼ問題なく流用できると思います。

ところが、ことコミックに関してはこの流用は殆どの場合うまくいきません。

それは、コミックには2値網点画像が使われており、オフセット印刷用のデータをデジタル印刷機にかけるとモアレが発生するためです。

では、モアレとはどのようなものでしょうか?

オフセット印刷、デジタル印刷にかかわらず、印刷には広い意味で周波数というものがあります。

これは、解像度や網、処理上の量子化誤差、など周期性を持っているものに起因しており、これらの周波数が干渉を起こす現象がモアレです。

簡単に申し上げますと、同じスクリーントーンを2枚重ねて、上のトーンを少しづつ回転させると、大きな干渉縞が発生する“あれ”です。

Moire1

Moire2

これが、解像度変換や処理上の量子化誤差などにより、網点に発生するのがコミックのモアレです。

では、なぜデジタル印刷機でモアレが発生するのでしょうか?

大きな要因は解像度の違いです。

オフセット印刷機は、2400dpiが主流で、印刷版を1200dpiまたは2400dpiの高い解像度で作成します。

一方、現在のデジタル印刷機は、600dpi や 800dpi などが主流です。

プリントエンジンが2400dpi であっても、フロントRIPの処理は600dpiだったりします。

デジタル印刷機のフロントRIPは、このような解像度の違いを変換吸収する機能を持っていますが、

この変換は単純な変換ですので、このときにモアレが発生してしまいます。

解像度の変換処理は、早い話、データの拡大/縮小です。

モアレを発生させないように画像を拡大/縮小することができ、

デジタル印刷機に合わせて解像度を変換すれば、

モアレ発生のもっとも大きな原因を回避することができます。

しかしながら、解像度変換は大きな原因ではありますが、すべてではありません。

このほかにもいろいろな要因が考えられます。

今回、このようなニーズに対応するため、

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